いきなりですが質問です。
あなたは、自分の所得にかかっている税率が何%か、ご存知ですか?
ここでは自営業などで確定申告をする方が自分の税率を簡単に確認する方法をご紹介します。
提出した確定申告書の控えを確認してみましょう。
確定申告書
まずは確定申告書から、「課税される所得金額」を探します。
申告書Aの場合
給与や年金だけで確定申告をした場合、こちらになることが多いです。
第1表の㉑「課税される所得金額」をご確認ください。

申告書B
第一表に「課税される所得金額」の記載がある場合
事業や不動産所得がある方は、こちらの用紙になります。
第1表の㉖「課税される所得金額」をご確認ください。

第一表の「課税される所得金額」が空欄の場合
有価証券の取引や不動産の売買がある方は第一表の㉖は空欄かと思います。
ちょっとめくって、第三表で以下の金額を確認してください。

所得税の税率
上で確認した「課税される所得金額」に税率をかけて、所得税の税額を計算します。
個人の所得に対する税は所得税(+復興税)と住民税の2つがあります。
住民税の税率は常に10%ですから、全体の税率は所得税率+10%と考えればいいことになります。
所得税率
上の②ー③の金額が課税所得といわれ、それに下表の税率をかけて所得税の税額を計算します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁 No.2260所得税の税率 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
たとえば「課税される所得金額」が500万円の方は、上表「330万円を超え 695万円以下」の部分で計算します。所得税の税額は
500万円×20%-427,500円=572,500円
となります。
限界税率と平均税率
限界税率
ところで「税率」の考え方には2つあります。一つは限界税率。上表の「税率」列の数字で、上の例であれば20%です。
なお復興税が所得税の2.1%、住民税が10%課されますので、これらを含めた限界税率は
20%×1.021+10%=30.42%
です。
限界税率は、今の状態から所得が上乗せされたときに課税される率です。
所得が増えたときにどの程度課税されるのか、またはiDeCo掛金などの所得控除によりどの程度税を減らせるのかを考えるときに用います。
関連リンク:iDeCoを税理士目線で解説
平均税率
税率の考え方もう一つは平均税率です。所得税は所得の低い部分は低い税率で、所得の高い部分は高い税率をかけるように計算されます。
そのため平均税率は限界税率よりも低くなります。上表では「控除額」により調整します。
上の例・「課税される所得金額」が500万円であれば、
500万円×20%-427,500円=572,500円
572,500円÷500万円=11.45%
となります。復興税・住民税を合わせた平均税率は
11.45%×1.021+10%=21.69%
です。
平均税率は、自分の所得全体に対しどの程度の率で課税されているかを知りたいときに用います。
ご自身の所得がどの程度課税されているのか、また税対策をどのように考えるかの一助となれば幸いです。