税・申告

特定口座で損をしないためのテクニック

証券投資する方にとって特定口座はもはや必須。これがなければ損益計算が面倒くさくてやっていられませんね。

ところがこの特定口座、何も考えずに利用していると税金を余計に払っているかもしれないというのはご存じでしょうか?

改めて特定口座を解説

特定口座は証券会社や銀行などでの投資の損益を自動で計算してくれるものです。

源泉徴収ありの特定口座であれば利益(譲渡益)についての税金を勝手に払ってくれます。つまり確定申告の手間もかかりません。

さらに株の配当などを同じ特定口座で受け入れるようにしてあれば、年間の売買を合わせて譲渡損が残った場合に、利子・配当と通算してくれます。余計に取られた税金は翌年初、口座に戻ってきます。

つまり損益を自動計算してくれて、税金を納める手間を省いてくれる。それが特定口座です。

ここでは多くの人が利用しているであろう、源泉徴収あり特定口座を中心に解説します。

余計に税金を払っている⁉

この特定口座、何もしないでいると余計に税金を払ってしまうことがあります。それは次の場合。

  1. 複数の金融機関で取引しており、一方が利益・もう一方が損失
  2. 譲渡損が大きく、利子・配当と通算しても損失が残る
  3. 保有している証券に含み損がある

それぞれ、対策をご紹介していきます。

① 複数の金融機関で取引しており、一方が利益・もう一方が損失

2以上の金融機関で特定口座を持っている人も多いと思います。すると片方は利益だけどもう片方が損を出している・・・ということもあるのではないでしょうか。この場合は、確定申告をすると取られすぎた税が戻ってきます。

たとえばA証券では利子・配当含め10万円の利益が出ており、一方B証券で10万円の損失が出たとします。当然、両社合わせた損益は0です。

ところが特定口座では、A証券の利益10万円には20,315円を課税するのに対しB証券の損失10万円については何もしません。利益が出ていないのに2万円以上も取られ損となっているわけです。

この場合は確定申告をすることにより損益を合計することで、A社で源泉徴収された税金20,315円の還付を受けられます。

② 譲渡損が大きく、利子・配当と通算しても損失が残る

その年の状況によっては、利子・配当と通算してもトータルでマイナスということもあるでしょう。この場合も確定申告をすることで損失を繰り越し、翌年以降3年の間に出た利益と相殺できます。

たとえば今年、10万円の損を出してしまったとします。放っておくと、その損失は浮かばれません。

ここで確定申告をすることで、損失を繰り越すことができます。繰り越された損失は翌年以降、3年間の譲渡益や利子・配当と通算できます。

確定申告は2回。損失が出た年と、その後利益が出た年です。

損があった!でも確定申告をしていない!!

過去に特定口座での損があったけど、確定申告なんてしていない!という人も結構いると思います。

そのような人も損があった年の申告を後から行う(期限後申告という)ことで、損失を繰り越すことができます。

ただし自営業者の方や、医療費控除を受けるなどの理由ですでに確定申告をしている場合、特定口座の申告を後から追加することはできません。

あくまでも、その年の確定申告をしていない場合だけです。

また損失があった年の申告期限(翌年3月15日)から5年以上たってしまっても期限後申告はできません。こちらは気にすることもないでしょうが念のため。

③ 保有している証券に含み損がある

特定口座で譲渡益がある、あるいは譲渡損よりも利子・配当が大きい場合は、利益に対し20.315%の税率で課税がされます。

ところが、その一方でまだ実現していない「含み損」がある場合は、売却することにより損失を実現させ、余計な課税をされないようにすべきです。

受渡日に気をつける

なお特定口座は受渡し基準で計算されていることに注意が必要です。年内受渡し最終日(株であれば令和1年から取引最終日の2営業日前)を過ぎてから取引・約定した場合、受渡しが翌年になります。するとその取引は翌年のものとして扱われます。

年内の取引としたいのであれば、あらかじめ受渡日を確認し日程に余裕を持って注文しましょう。

含み損は「資産」と考える

証券投資にはリスクがありますから、銘柄により損失が出るのはある意味当然です。うまくいく銘柄もあれば、失敗する銘柄もあります。

問題は、うまくいって「嬉しい」銘柄だけを売却して利益を実現させ、一方で失敗した銘柄を塩漬けにしてしまうと、必要以上に税金を取られてしまうところにあります。

利益が出ていることが前提ですが、含み損は実現させることでその20.315%分、税金を取り戻すことができます。含み損はある意味、資産と言えます。

余談ですが企業会計では税効果会計といって、将来の税負担を考慮して財務諸表を作ることがあります。その際に有価証券の含み損は、将来の税負担を減らすことから税率部分を「繰延税金資産」として資産に計上します。

実現していない損失は資産になりうるのです。

買い戻す場合の注意点

とはいえ値下がりしている銘柄を売却するとき、「また上がるかもしれない」と言う気持ちもおこるでしょう。それでも損失は損失として、まずは最大限利用することを考えましょう。

その上で、また値上がりしそうだと思う銘柄であれば翌日以降に買い戻せばいいのです。

ただしこの場合、注意点が2つあります。1つは取得価額が下がり利益が出やすくなる=課税されやすくなることです。

2つ目は特に株式について売却した当日に買い戻した場合、損失を半分程度しか出せないことです。

特定口座の計算上、同日の取引は「買い」を全て先に行ったものとされます。すると安い値段で買い増し、取得価額が下がったあとで売却したことになります。

実際の取引の順番と関係なく計算されますので、注意が必要です。

特定口座まとめ

特定口座は税金を自動で計算してくれて大変便利ですが、何も考えずにいると余計に税金を払ってしまうことがあります。特に

  • 金融機関別に利益を出している口座と損失となっている口座がある
  • その年の取引がトータルで損失である

の場合には、確定申告により損益を通算して税金分を取り戻したり、損失を翌年以降に繰り越して将来、還付を受けることができます。また

  • 利益が出ている一方で、含み損を抱えている

場合、損をしている証券を売却して損失を実現させ、税負担を減らすことができます。

こういったところに気をつけ、適正に税金を払いながら投資を行いましょう。

ABOUT ME
まはーる
証券会社出身の税理士です。 税を絡めながら、証券投資について紹介していくページを作っていこうと思います。 保有資格:税理士・証券アナリスト よろしくお願いします。