証券投資の運用益が非課税となるNISA。
そのうち投資信託の積立投資に限り非課税期間を20年間とする制度がつみたてNISAです。
つみたてNISAとは
対象となる利益
つみたてNISAは投資信託の運用益を非課税とする制度です。
投資信託の譲渡益と分配金が対象です。
非課税となる期間
非課税となる期間は、最大20年間。
正確には購入した年の19年後の年末までです。
その間の譲渡益・値上がり益・配当が非課税となります。
対象商品
つみたてNISAの対象となる商品は、金融庁が指定する一定の投資信託です。
参照:金融庁 つみたてNISAの対象商品
なおつみたてNISAはその名の通り、積立投資で新規に購入した投資信託のみが対象です。
NISA同様、すでに特定口座などで保有しているものを移管することはできません。
積立と同じタイミングで、特定口座などで保有している分を売却し実質、つみたてNISAに移管することはできますが、面倒ですね。。。
加えて次の2点に注意が必要です。
- 投資信託の売却で譲渡益が出た場合には当然、課税される
- 売却にかかる信託財産留保額などの負担がある
非課税枠
1年あたり購入金額40万円までです。
その「非課税枠」で購入した投資信託の譲渡益・分配金が非課税となります。
非課税期間が最大20年間ですので、一杯まで使うと購入金額800万円です。
その元手から生まれる利益を非課税とすることができます。
分配金の再投資や、同じシリーズの投資信託で運用タイプを切り替える「スイッチング」によっても非課税枠を消費してしまう点には注意です。
なお一度使った非課税枠は投資信託を売却しても復活しません。
また1年の間に購入金額40万円まで使わなかったとしても、残った枠を翌年に繰り越すことはできません。
このあたりは非課税枠120万円の一般NISAと同じですね。
金融機関
一般NISA/つみたてNISA口座を解説することができる金融機関は1つのみです。
途中で金融機関を変更することができます。
その場合、
- その年のNISA枠を使っていない → その年から変更できる
- その年の枠を1円でも使っている → 翌年からの変更
となります。
特につみたてNISAの場合、積立を放っておくと勝手にNISA枠を使いますので、変更は上記②「翌年からの変更」が基本となると思います。
なお各年10月1日以降の移管はその年の内にはできず、翌年分からとなります。
非課税期間が終わると?
20年間の非課税期間が終わると、つみたてNISAで保有していた商品は売却、課税口座への移管かロール・オーバーのいずれかを選択します。
内容はNISAと共通ですが20年先の話になりますので、その間に制度が変更される可能性もあります。
参考程度でご覧ください。
売却
非課税期間終了とともに文字通り、売却します。
その際、譲渡益があれば非課税となります。
一方、譲渡損があっても無かったこととされてしまい、他の利益と通算できません。
課税口座への移管
非課税期間終了とともに、運用していた投資信託を特定口座などの通常の口座に移管します。
なお移管した投資信託の取得価額は、非課税期間終了の年末の時価となります。
つまり購入時から値上がりしていた場合には値上がり分の含み益が非課税となります。
つみたてNISAで損をしてしまう場合も
一方、購入時から値下がりしていた場合には取得価額が実際の購入価額よりも低く書き換えられてしまいます。
売却したときの利益が大きくなり余計に税金がかかってしまいますので注意が必要です。

ロールオーバー
20年間の非課税期間終了後、翌年から始まる期間の非課税枠を使ってさらに20年間、非課税での運用を続けることができます。
これをロールオーバーといいます。
なお購入した株式や投資信託が値上がりし、20年目の年末時価で40万円を超える場合でも、その全額をロールオーバーできます。
ロールオーバーの注意点
注意点としては、
- ロールオーバーした分、翌年の非課税枠を消費する
- つみたてNISA口座を置く金融機関を変更していた場合ロールオーバーできない
- 一般NISAからつみたてNISA、およびつみたてNISAから一般NISAへのロールオーバーはできない
の3つがあります。
つみたてNISAのメリット
運用益が非課税
NISAのメリットは運用益、つまり譲渡益と配当が非課税になることです。NISA以外で投資をするとどちらも20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で課税されます。
資産形成に活用しやすい
積立投資のみでの運用となりますので、必然的にコツコツ型の投資になります。
「下がった所を狙う」など難しいことを考える必要があまりないため、投資初心者や運用に神経を使いたくない人向きといえます。
金融機関により優遇がある
一般NISAほど手厚くはありませんが、制度面以外のメリットとして金融機関ごとに手数料などの優遇やキャンペーンが用意されています。
優遇をもとにつみたてNISAを開設する金融機関を選ぶのもいい手だと思います。
つみたてNISAのデメリット
損失を通算できない
NISAでは運用益が非課税となる一方、運用損(譲渡損)が出ても無かったことにされてしまいます。
特定口座・一般口座の利益との通算はできません。
対象商品が少ない
一般NISAと違い、対象商品が金融庁に指定された投資信託のみです。
株式(一部のETFを除く)は対象となりません。
投資の選択肢は狭まりますが、投資初心者向けの制度という観点では手数料、信託報酬などの面から金融庁が商品を選抜する親切な設計ともいえます。
金融機関を変えるとロールオーバーできない
※随分先の話になりますので、ご参考程度で
ロールオーバーにより20年間の非課税期間が終わった後、翌年の非課税枠を使ってさらに20年間の運用益を非課税とできます。
ところが、その間にNISA口座を開設する金融機関を変更した場合には翌年分の非課税枠を当初の金融機関で開設できないため、ロールオーバーはできません。
売却か、課税口座(特定口座か一般口座)への移管はできます。
フル活用できるのは20年後
投資可能額は最大800万円と、一般NISAの600万円よりも大きくなっています。
ですが1年あたりの非課税枠は40万円なので、最大額まで持ち込むには20年かかります。
より多くの元手を非課税としたい場合は一般NISAの方が良いかもしれません。
つみたてNISAはこう使おう
投資初心者に優しい制度
積立投資での運用が前提となるため、タイミングを狙う必要がありません。
買うタイミングが分からない投資初心者や、そういったことに神経を使いたくない人向けの制度といえるでしょう。
一般NISAとつみたてNISAどちらが良いかわからない、という方にはつみたてNISAをお勧めします。
ハイリスク・ハイリターン型商品も組み入れてみよう
積立投資はマーケットに打ち勝つ唯一の方法とも言われています。
毎月一定額ずつということは、高いときには少ない口数しか買わず、値段が下がると口数を多く買うことになるからです。
長く続けることでマーケットの平均に勝てることになります。
これを「ドル・コスト平均法」といいます。
この効果は値段の変動が大きいほど高くなります。
ですので、たとえば新興国株式などハイリスク方の投資を組み入れることで積立投資のメリットを活用できるのです。
つみたてNISA運用の心構え
複数の商品に投資をする
つみたてNISAに限ったことではありませんが、投資する商品は分散させましょう。
投資対象により値段の動き方が違うからです。
卵を一つのカゴに盛ってはいけません。そのカゴ一つを落とすと全滅します。
下がっても慌てず、ほくそ笑む
買い始めた投資信託が値下がりしても決して慌ててはいけません。
狼狽して売却したり、買い付けを止めたりすることの無いようにしてください。
積立投資ですので値段が下がったら、下がったところで買い増します。
しかもより多くの口数を購入するので、平均購入価額が割りと下がります。
ですので「今までよりも安いところで、多く買っているんだゾ」とほくそ笑んでください。
つみたてNISAまとめ
投資信託の運用益が非課税となるつみたてNISA。
一般NISAと比べると失敗しにくく、初心者向けの制度といえるでしょう。
非課税期間が長く、かつ積立投資による買い付けのため、ハイリスク・ハイリターン型の商品も含めて投資することをお勧めします。
買い付けを始めたら値下がりしても慌てず、淡々と積み立て続けるのがポイントです。
下がったところでも継続して初めて、利益を出せると心得てください。
以上を心がけ、長期での利益を目指しましょう。
このサイトが皆様の運用の一助となれれば幸いです。
※投資はご自身の判断でお願いします。損失が生じた場合でも当方は責任を負いかねます。