証券投資をして利益を上げても、税金を納めなくていい方法があります。
NISA(一般NISA)です。
ここでは、一般NISAについてメリット・デメリットとともにご紹介します。
一般NISAとは
対象となる利益
NISAとは株や投資信託の運用益が非課税になる制度です。
株式や投資信託の譲渡益と配当金が対象です。
なお株式の配当金を非課税で受け取るためには、配当金を証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」にしていなければなりません。
これ以外の方法、 たとえば直接銀行口座に入金するなどの方法では、非課税の恩恵を受けることはできません。
確定申告によっても非課税とすることはできないため、注意が必要です。
非課税となる期間
非課税となる期間は、最大5年間。
正確には購入した年の4年後の年末までです。
その間の譲渡益・値上がり益・配当が非課税となります。
対象商品
一般NISAの対象となる商品は
- 株式(国内株式・外国株式)
- 株式投資信託
一方、対象とならない商品は
- 国内債券(個人向け国債を含む)
- 外国債券
- 公社債投資信託(MRF、MMFや外貨MMFを含む)
です。
なお区分が株式投資信託であれば、公社債での運用をメインとする投資信託であってもNISAの対象です(なんちゃらボンドファンド、など)。
ちょっとややこしいですね。
とりあえず「債券やMRF/MMFは対象外」と覚えておいてください。
またNISA口座で新規に購入した株式・投資信託のみが対象です。
すでに特定口座などで保有しているものをNISA口座に移管することはできません。
特定口座などで保有している分を一度売却し、NISA口座で買い直すことはできますが、その場合には次の2点に注意が必要です。
- 株式・投資信託の売却で譲渡益が出た場合には当然、課税される
- 売却・購入にかかる手数料や信託財産留保額などの負担がある
非課税枠
1年あたり購入金額120万円までです。
その「非課税枠」で購入した株式や投資信託の譲渡益・配当が非課税となります。
非課税期間が最大5年間ですので、フルに使うと購入金額600万円。
その元手から生まれる利益を非課税とすることができます。
投資信託分配金の再投資や、同じシリーズの投資信託で運用タイプを切り替える「スイッチング」によっても非課税枠を消費してしまう点は注意です。
なお一度使った非課税枠は株式・投資信託を売却しても復活しません。
また1年の間に購入金額120万円まで使わなかったとしても、残った枠を翌年に繰り越すことはできません。
金融機関
一般NISA/つみたてNISAはいずれか1つのみ、1つの金融機関でだけ解説することができます。
途中で金融機関を変更することができます(管理人は一度やりました)。
その場合、
- その年の非課税枠を使っていない → その年から変更できる
- その年の枠を1円でも使っている → 翌年からの変更
となります。
なお各年10月1日以降の移管はその年の内にはできず、翌年分からとなりますので注意が必要です。
非課税期間が終わると?
5年間の非課税期間が終わると、NISAで保有していた商品は売却、課税口座への移管かロールオーバーのいずれかを選択します。
売却
非課税期間終了とともに文字通り、売却します。
その際、譲渡益があれば非課税となります。
一方、譲渡損があっても無かったこととされてしまい、他の利益と通算できません。
課税口座への移管
非課税期間終了とともに、運用していた株式や投資信託を特定口座などの通常の口座に移管します。
なお移管した株式や投資信託の取得価額は、非課税期間終了の年末の時価となります。
つまり購入時から値上がりしていた場合には値上がり分の含み益が非課税となります。
NISAで損をしてしまう場合も
一方、購入時から値下がりしていた場合には取得価額が実際の購入価額よりも低く書き換えられてしまいます。
売却したときの利益が大きくなり余計に税金がかかってしまいますので注意が必要です。

ロールオーバー
5年間の非課税期間終了後、翌年から始まる期間の非課税枠を使ってさらに5年間、非課税での運用を続けることができます。
これをロールオーバーといいます。
なお購入した株式や投資信託が値上がりし、5年目の年末時価で120万円を超える場合でも、その全額をロールオーバーできます。
ロールオーバーの注意点
注意点としては、
- ロールオーバーした分、翌年の非課税枠を消費する
- NISA口座を置く金融機関を変更していた場合ロールオーバーできない
- 一般NISAからつみたてNISA、およびつみたてNISAから一般NISAへのロールオーバーはできない
の2つが挙げられます。
NISAのメリット
運用益が非課税
NISAのメリットは運用益、つまり譲渡益と配当が非課税になることです。普通に投資をするとどちらも20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で課税されます。
金融機関により優遇がある
制度面以外のメリットとして、金融機関ごとに手数料などの優遇やキャンペーンが用意されています。
優遇をもとにNISAを開設する金融機関を選ぶのもいい手だと思います。
NISAのデメリット
損失を通算できない
NISAでは運用益が非課税となる一方、運用損(譲渡損)が出ても無かったことにされてしまいます。
NISA以外の配当や、特定口座・一般口座の利益との通算はできません。
金融機関を変えるとロールオーバーできない
ロールオーバーにより5年間の非課税期間が終わった後、翌年の非課税枠を使ってさらに5年間の運用益を非課税とできます。
ところが、その間にNISA口座を開設する金融機関を変更した場合には翌年分の非課税枠を当初の金融機関で開設できないため、ロールオーバーはできません。
売却か、課税口座(特定口座か一般口座)への移管はできます。
一般NISAまとめ
株・投資信託の運用益が非課税となるNISA。
ですが最も気をつけなければならないのは、損失も無かったことにされてしまうところです。
ハイリスク・ハイリターン型の商品で大きく利益を狙うのもいいですが、「損をしない」運用を心がけることも重要かもしれませんね。
このサイトが皆様の運用の一助となれれば幸いです。
※投資はご自身の判断でお願いします。損失が生じた場合でも当方は責任を負いかねます。