税・申告

iDeCoを税理士目線で解説

個人型確定拠出年金(iDeCo)が最近話題になっていますが、

  • 入ると税金が安くなるの?
  • 運用益への課税は?
  • 受け取るときに課税されるの?

といった点について税理士目線で解説していこうと思います。

① 掛金拠出で税金が安くなる

iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象となります。

・・・よく見る言い回しですが、分りにくいですね。具体的にどの程度、税金が少なくなるのでしょうか?

会社に企業年金がない会社員の拠出額上限、2.3万円/月で考えてみましょう。年間の拠出額は

 2.3万円×12月=27.6万円

です。所得税の税率は年収によって変わりますが、たとえば年収600万円くらいの会社員であれば、たいていの方は10%と思われます。

住民税の税率は10%です。従ってiDeCoの掛金を拠出したことで節約できる税額は

  • 所得税:27.6万円×10.21%=28,179円(復興税2.1%を含む)
  • 住民税:27.6万円×10%=27,600円

合わせて20.21%、金額にして約55,780円 となります。

税率の求め方

(ここは読み飛ばしても構いません) 上の例で給与所得は

 600万円ー174万円(給与所得控除額)=426万円

ここから他の所得控除を引きます。これくらいの年収だと社会保険料が75万円程度かと思いますので、基礎控除38万円を足して113万円とすると、課税される所得金額は

 426万円ー113万円=313万円

が課税所得となります。あとは、下の表に照らすと税率は10%。復興税が税額の2.1%ですので、10%×1.021=10.21%が所得税の税率となります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

出典:国税庁 No.2260所得税の税率  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

② 運用益は非課税、コストも高くない

運用期間中の利益は非課税

iDeCoで運用中は、運用益が非課税となります。他の運用では配当・分配金や売却益に対して20.315%の課税がされますから、これは嬉しいですね。

途中で課税がされないため拠出した資金を効率よく、複利運用できます。

税金以外のコストは?

iDeCoの手数料は、

  • 加入時:2,777円
  • 拠出時:167円/月+金融機関ごとの手数料(0円のところも多いです)
  • 換金時:432円/1回

です。口座移管や拠出額超過などの場合は、別途かかります。

これに加え投資信託での運用であれば、商品ごとの信託報酬があります。

信託報酬は商品によって0.108%から2.16%まで幅があります(なんと20倍!)。運用成績や資産配分とのバランスを見て選びましょう。

③ 受け取りは一時金で。退職と5年以上ずらして!

一時金での受け取りは退職所得

年金資産は年金のほか、一時金でも受け取れます。管理人のお勧めは一時金です。

退職所得として扱われ税金面の優遇が大きいからです。一工夫加えれば多くの場合無税で受け取ることができます。

たとえば25歳で加入、毎月2.3万円を拠出して66歳で受け取ると拠出額の合計は

 2.3万円×12月×41年=1,131.6万円

です。運用がうまくいき2,000万円になったとしましょう(期待しすぎ?)。

退職所得を計算する際には、受取金額から退職所得控除額を引きます。

退職所得控除額は加入年数20年超の場合、

  800万円+70万円×(加入年数-20年)

ですから加入年数41年では

 800万円+70万円×(41年-20年)=2,270万円 > 2,000万円

控除額の方が大きくなりました。つまり無税で受け取れます。

この式から分かるように、退職所得控除額はiDeCoの加入年数が長いほど大きくなります。

20年未満では1年あたり40万円ですが、20年を超えると1年あたり70万円ずつ、控除額が大きくなります。つまり課税されにくくなります。

サラリーマンの拠出制限2.3万円/月で20年超続けた場合、課税されるほどの運用成果が出たらアッパレです。

なお控除額を超えた場合でも、超えた金額を2分の1して上表の税率を掛けます。他にいくら所得があろうと合算しないため、税率はさほど高くならない筈です。

ただし5年以内に別の退職所得があった場合には退職所得控除額が減額されてしまい、課税されやすくなります。

そのため一時金での受け取りは退職から5年以上、間をあけるようにしましょう。

途中でお金に困ったら?

掛金の拠出期間中にお金に困っても、できれば拠出を止めてしまわず月5,000円(最低金額)でいいので拠出を続けましょう。

というのも上の退職所得の金額でいう「加入年数」は、掛金を拠出していた期間でカウントするからです。

掛金0の期間は加入年数に数えられないため、その期間が長いと一時金で受け取ったときに課税されやすくなります。

なお拠出額の変更は年1回(1月-12月)となっていますのでご注意ください。

 年金で受け取った場合

iDeCoを年金で受け取ると公的年金として課税されます。国民年金、厚生年金と同じ扱いです。

公的年金は65歳未満なら年70万円、65歳以上なら年120万円までであれば課税されません。

老後の生活を守るものなので税もそれなりに考慮されてはいますが、国民年金・厚生年金とiDeCoを同時に受け取って無税で行けるかといえば、少し難しいところです。

受取額で考えてみましょう。
基礎控除38万円もありますので、65歳以上の方が非課税で受け取れる年金の額は
 120万円 + 38万円 = 158万円
となります。

いかにも少ないですね。
できれば一時金で受け取って税メリットを最大限、享受しましょう。

iDeCoまとめ

以上、税理士目線でiDeCoについてまとめると、

  • 拠出した掛金のだいたい20%以上、税金が減る
  • 運用期間中に利益への課税はない
  • 受け取りは年金よりも一時金の方が税メリットが大きい
  • 一時金なら退職と5年以上ずらせば、おそらく無税で受け取れる

ということになります。なかなかメリットの多い制度ですので、皆さんぜひ活用しましょう。

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まはーる
証券会社出身の税理士です。 税を絡めながら、証券投資について紹介していくページを作っていこうと思います。 保有資格:税理士・証券アナリスト よろしくお願いします。